公正証書とは、公証人法に基づき、法務大臣に任命された「公証人」が作成する公文書です。
公証人とは、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家であり、公務員です。
そのため、公正証書には証明力があり、執行力を有しており、安全性や信頼性に優れています。
例えば、金銭債務においては、「強制執行認諾条項」を定めておくことで、本来であれば裁判で確定判決を受けなければ行うことの出来ない「強制執行」の申立が直ちに行えます。
離婚協議書と離婚公正証書は、どちらも、離婚に伴う財産上の問題や離婚後に生じる問題について、当事者間で取り決めをして合意した内容を証する文書であり、契約書の一種です。
そのため、記載内容が同一であれば、法的な効力に違いはありませんし、離婚公正証書を作成するにあたって、予め離婚協議書を作成しているという必要もありません。
一番の違いは、離婚協議書が「私文書」であるのに対し、離婚公正証書は、法務大臣に任命された公証人が作成する「公文書」である、ということです。
そして、公正証書は、離婚協議書と違い、いくつかの特別な効果やメリットを有しています。
離婚公正証書とは、離婚に関する約束や取り決めを書面(離婚協議書)を公正証書にしたもののことであり、正確には「離婚給付契約公正証書」といいます。
離婚に際して、慰謝料や財産分与、養育費、面会交流、などについての約束をしても、通常の離婚協議書では、実効性が弱く、あとあとでトラブルになることも多くあります。
そのような場合、公正証書を作成することで、多くの場合、トラブルを事前に防止することが可能です。
離婚公正証書には、通常の離婚協議書とは違い、以下のようなメリット(効力)があります。
1 証明力
離婚公正証書は、法律のプロである公証人が、書面の記載内容について、法令違反がないかどうかを確認し、作成当事者の身元について、印鑑証明書などで確認してから作成を行います。
その為、あとで離婚公正証書の内容が裁判で否認されたり、無効とされる可能性はほとんどありません。
2 執行力
離婚公正証書は信頼性が高いため、例えば、金銭債務においては、「強制執行認諾条項」を定めておくことで、「強制執行」の申立が直ちに行えます。
本来であれば、強制執行をするためには、裁判所に訴訟を提起し、勝訴の判決を受け、確定されなければなりません。
もちろん、ある程度の時間や労力、費用などの負担を要しますし、その訴訟係争中に相手が破産するなど経済的に破綻してしまったら、執行出来たはずのものさえ出来なくなる危険があります。
そういう意味では、離婚公正証書の持つ執行力は、債権保全において、とても強い威力を発揮します。
3 安全性
離婚公正証書の作成においては、書面の記載内容について、法律のプロである公証人が、法令違反がないかどうかを確認し、作成当事者の身元については印鑑証明書などで確認します。
その為、文書の成立において、真正であるという推定力が働きます。
あとで公正証書の内容が裁判で否認されたり、無効とされる可能性はほとんどありません。
また、作成された離婚公正証書の原本は、公証役場で20年間保管されますから、改ざんや変造の心配もなく、万一紛失しても再発行が可能であり、とても安心です。
● | 慰謝料 |
離婚における慰謝料とは、離婚に至る原因となる行為および離婚自体について、離婚の原因を作った側が相手方に対して支払う損害賠償金のことです。 そのため、特に理由がなく双方が合意して離婚をした場合には「慰謝料」は発生しません。 | |
● | 財産分与 |
離婚の財産分与とは、婚姻中に夫婦で築きあげた財産の清算・分配のことです。 離婚をした者の一方は、相手方に対して財産分与を請求することが出来ます(民法第768条)。 | |
● | 養育費 |
養育費とは、子供を養育するために必要な費用のことであり、衣食住に関する費用や教育費、および適度な娯楽費などが含まれます。 親には、未成年の子供を養育(扶養)する義務があります。 この養育義務(養育費の支払義務)は、親権や監護権の有無とは関係がありません。 | |
● | 親権者/監護者 |
親権とは、父母が未成年の子供に対してもっている、身分上・財産上の保護・監督・教育・管理を内容とする包括的な権利及び義務の総称です。 親権を、便宜上、財産管理権と身上監護権に分け、前者を「親権」、後者を「監護権」とする場合があります。 | |
● | 面会交流権 |
面会交流権(面接交渉権)とは、監護・教育しない側の親が、その子と親子の面会交流する権利のことをいいます。 定期的に直接会って接触することや、誕生日やクリスマス、入学、運動会をはじめ、その他、宿泊・旅行その他のイベントなどは、子の健全な養育のためにも必要なものです。 |
● | 科目の内訳 |
慰謝料、財産分与、養育費、はそれぞれ科目を分けて算定することをお勧めします。 特に、養育費と慰謝料・財産分与は、別個の法律行為であり、時効の有無や強制執行しうる範囲なども異なります。 養育費には、時効はありません。 また、養育費には、不履行時の強制執行につき、特例があり、給与所得等の定期収入の2分の1まで差し押さえることが出来ます。 財産分与については、預貯金と現金、など、同等額で相殺をすることが出来ます。 しかし、慰謝料は、財産分与とは異なり、相手から一方的に相殺をされることのない債権です。 あとあとで面倒にならないよう、慰謝料・財産分与・養育費については、出来る限り、個別に金額を明示しておく方が安心です。 | |
● | 金銭以外の現物給付 |
不動産など、金銭以外の現物での給付については、所有権移転登記手続きの履行期限などを明確に定めておくことが大切です。 そうしないと、期限の定めがない債務となり、万が一不履行となった場合など、手続きが面倒になります。 また、登録免許税などの費用負担を誰がするか、なども明確に定めておくことが大切です。 | |
● | 財産分与の範囲 |
財産分与によって取得した財産には、原則として贈与税はかかりません。 しかしながら、社会通念上の許容範囲を大きく超えるような財産分与が為された場合には、贈与税が課せられる場合があります。 また、不動産を取得した場合には、譲渡所得税が課せられる場合があります。 |
離婚公正証書の作成において必要となる書類は、以下のとおりです。
公正証書証書の作成に係る手数料 | |||||||
@ | 契約や法律行為に係る証書作成の手数料は、原則として、その目的価額により定められています(手数料令9条)。 目的価額というのは、その行為によって得られる一方の利益、相手からみれば、その行為により負担する不利益ないし義務を金銭で評価したものです。目的価額は、公証人が証書の作成に着手した時を基準として算定します。 |
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【法律行為に係る証書作成の手数料】 | |||||||
(目的の価額) | (手数料) | ||||||
100万円以下 | 5000円 | ||||||
100万円を超え200万円以下 | 7000円 | ||||||
200万円を超え500万円以下 | 11000円 | ||||||
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 | ||||||
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 | ||||||
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 | ||||||
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 | ||||||
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に5000万円までごとに 1万3000円を加算 |
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3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に5000万円までごとに 1万1000円を加算 |
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10億円を超える場合 | 24万9000円に5000万円までごとに 8000円を加算 |
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A | 当事者の一方だけが義務を負う場合は、その価額が目的価額になりますが、双方が義務を負う場合は、双方が負担する価額の合計額が目的価額となります。 |
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B | 数個の法律行為が1通の証書に記載されている場合には、それぞれの法律行為ごとに、別々に手数料を計算し、その合計額がその証書の手数料になります。、「慰謝料・財産分与」と「養育料」とは別個の法律行為として扱い、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。ただし、養育料の支払は、賃料と同じく定期給付に当たるため、支払期間が長期にわたる場合でも、10年分の金額のみが目的の価額になります。 |
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C | 年金分割のように、目的価額を算定することができないときは、例外的な場合を除いて、500万円とみなされます(手数料令16条)。 |
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D | 法律行為についての公正証書を作成した場合に、法務省令で定める証書の枚数が4枚(横書きの場合は3枚)を超えるときは、超過枚数1枚ごとに250円を加算します(手数料令25条)。法律行為に係る公正証書の作成手数料は、目的価額により算定しますが、証書の枚数が多くなる場合について、手数料の加算を認めたものです。 |
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私は、幼いころに両親が離婚し、母子家庭で育ちました。 >>>代表者ご挨拶
〒101-0033
行政書士 小竹 広光 |
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