離婚の基礎知識 | |||
1:離婚とは | 2:夫婦関係修復 | 3:男性の離婚 | 4:女性の離婚 |
5:離婚の種類 | 6:協議離婚 | 7:調停離婚 | 8:裁判離婚 |
9:法定離婚事由 | 10:浮気・不倫 | 11:悪意の遺棄 | 12:その他の事由 |
13:婚姻費用 | 14:離婚の慰謝料 | 15:財産分与 | 16:子供の養育費 |
17:子供の親権 | 18:面会交流権 | 19:年金分割 | 20:離婚協議書 |
面会交流とは、監護・教育しない側(親権者または監護者とならなかった側)の親が、子供と面会して一緒に時間を過ごしたり、手紙や電話などを通して交流することをいいます。
面接交渉権は、民法その他の関係法規には明文の規定はありません。
つまり、以前は、離婚後の父母間は、単に養育費を支払うだけの関係でしかありませんでした。
しかしながら、昭和39年12月14日に東京家庭裁判所が、子の監護に関する処分(民法766条)として、面会交流を認めました。
※平成24年4月の法改正により、法令上、「面接交渉権」は「面会交流権」という法律用語になっております。
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上記の審判以降、実務上、他の家庭裁判所でも、面会交流という制度が当然のものとして取り扱われるようになり、離婚していない別居中の夫婦についても、平成12年5月1日には、最高裁判所が、民法766条を類推適用し、家事審判法9条1項乙類4号により、面会交流についても、相当な処分を命ずることができると判断し、「面会交流させる」という審判を認める決定を出しました。
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つまり、面会交流は、原則として、「子供が健全に成長するための、子供の権利」という観点から構成されている訳です。
面接交渉権そのものは、本来、養育費の支払いとは関係が無く、養育費の支払いがないということを理由として、養育者が拒絶することは出来ません。
ただし、現実問題として、「会わせてもらえないから払わない」、「払ってくれないから会わせない」、等というケースが多いのも事実です。
実際、いくつかの調査においても、定期的に面接交渉させているケースの方が、はるかに養育費を支払う率(履行率)が高かったという統計データが出ているそうです。
離婚は、夫婦間の重大問題ではありますが、「子供のために」という名を借りて、えてして「子供の視点」が置き去りにされてしまっていることが多くあります。
もちろん、夫婦当事者においては、死活問題であるといって良いほど、人生の一大事ですから、本人は冷静なつもりであっても、全く周りが見えていない状態に陥ってしまうことは、否めません。
また、裁判例においても、平成11年に、父親からの面接交渉を拒否した養育側の母親に対して、金500万円の慰謝料の支払いを命じる判決が出たことがありますが、いくら母親が父親の権利を侵害したからといって、過大な経済的負担を強いることは、ひいては、監護される「子供」に重い負担を強いることになるのであって、子供の視点から考えれば、本末転倒なことです。
ただ、500万円は高額に過ぎるといっても、面会交流権を有する非監護親や子の面会交流権を、正当な理由なく侵害してしまうと、一定の損害賠償義務を負う可能性はありますので、ご注意下さい。
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面会交流の是非については、子供の健全な成長という、子の福祉の観点を、何よりも最優先に考慮しなければなりません。
子供自身が定期的に直接会って接触することや、誕生日やクリスマス、入学、運動会をはじめ、その他、宿泊・旅行その他のイベントで面会交流することは、子供の健全な成長のために重要なことです。
親からの愛情を受け、見聞や経験を深めることは、子の人格形成にも大きな意味を持ちます。
夫婦は所詮、血のつながりを持たない他人かも知れません。
しかし、子供にとっては、親が離婚をしたとしても、同じ血を受け継いだ、親子であることに変わりはありません。
そして、本来であれば、両親双方からの愛情を感じ、見聞を受けて育つことが、子供の健全な成長に望ましいのは、間違いありません。
もっとも、離婚の原因が「児童虐待」や「DV」、「悪意の遺棄」など、子供の健全な成長への障害であった場合、離婚は子供の救済措置として効果的な場合もあるでしょう。
そのような場合であれば、面会によって子供が精神的に動揺して情緒不安定になったりするおそれがありますから、面会交流を認められません。
また、子供が面会を拒んでいるような場合も、子供の福祉や利益になりませんから、面会交流させるべきではありません。
よって、もしもそのような特別な事情がない場合には、夫婦間の対立や反発的な感情とは切り離し、出来る限りは、面会交流する機会をつくってあげた方が良いかと思います。
もちろん、離婚した親同士に感情的な対立がある場合、面接交渉させること自体が、多大や精神的負担となってしまう場合もあるかも知れませんので、負担を軽減できるよう、身内や信頼のおける方などで、引き渡しや立ち会いなどの協力してくれる第三者がいないか等を検討してみることも一つの方法です。
どのような事情があるにせよ、子どもにとっては、どちらも『自分の親』であることは間違いありません。
どのような事情があるにせよ、一方の親が、子供に対して、他方の親を悪くいってしまうと、子供は、自分の中で自己否定や自己矛盾を生じてしまい、多大な精神的苦痛を受け、心身面での成長に悪影響を及ぼす危険があります。
どうしても夫(又は妻)が許せない、というお気持ちがあったとしても、「離婚」になったことについて、子供には何の責任もありません。
子供に、他方の親の悪口をいうことだけは、出来る限りしないよう、注意して下さい。
なお、欧米では、離婚しても共同親権が維持される法制度を採用している国が大半となっており、そのため、週2回〜3回などの面会交流が当然になっているようです。
しかしながら、日本では、離婚後は共同親権では無くなり、いずれか一方の親のみが親権者となり、面会交流の合意が出来ていること自体が半数にも満たず、合意が得られているケースであっても、そのうちの50%強が「月1回」程度となっています。
実際、面会交渉について協議が難航した場合、養育する側が抵抗すると、争っても面会交流の機会は月1回を定めるのが限界のようです。
また、面会拒絶された場合、これに対して直接強制する手段はありません。
家庭裁判所に履行勧告や履行命令の申出をすることが出来ますが、強制力はないため、履行に応じない養育者に対しては、実効性に欠けます。
そのような場合、実務上、民事執行法に基づく間接強制という方法があり、例えば、調停などで定めたにもかかわらず、養育する側が正当な理由なく面会交流を拒絶した場合、拒絶1回につき罰金5万円、などという執行をすることが出来ます。
ただし、一方の養育する側が面会を頑なに拒否する場合に、これを強制することは、養育者を精神的・経済的に追い込むことにもなり、強いては、そのまま子供の養育環境へも悪い影響を与える恐れがあります。
よって、お子さんがいらっしゃる場合、仮に面接交渉をさせてもらえないからといって、養育側に著しい負担をかけることは、ひいては、子供のためにマイナスにしかならないかと思いますので、良く考えて頂けると良いかと思います。
なお、離婚によって、一番ショックを受け、不利益を被るのは、子供です。
子供に対して、離婚の説明をきちんとするべきか、しないべきか、意見は分かれるかも知れません。
しかし、離婚の説明や理由がどうであれ、その「離婚」という事実によって、両親からの愛を充分に受ける権利を侵害された子供に対して、どのように責任を果たしていくべきなのか、慎重に考えるべき責任が親にはあると思います。
なお、「社団法人 家庭問題情報センター」の調べによると、子供に離婚の説明をした方は、全体の70%ですが、6歳までのお子さんに対しては50%程度だそうです。
是非一度、下のページを読んで頂くことをお勧めします。
・離婚した親と子どもの声を聴く
・子どもの立場から面会交流を考える
子供は、育った家庭環境が悪いから、犯罪者になるのではありません。
母子家庭や父子家庭で育ったから、卑屈になったり精神面で未熟な人間になるのではありません。
当事者間で「面会交流」についての話し合いが調整出来ない場合、家庭裁判所へ「面接交流調停」を申し立てるという方法もあります。
もしも可能なのであれば、子どもの福祉や成長のため、夏休みや冬休み等の長期休暇期間中において、旅行や宿泊を認めるなど、幅広い対応も検討してみるのも良いかと思います。
DV・虐待などの事情により、子供と面会させることが相当でないと思われる場合には、一定の手続きをとることが出来ます。
離婚が決まる前においては、家庭裁判所に対し、面接を禁止する監護処分の審判申立と審判前の保全処分の申立という手続きがあります。
また、DV法(正式名称:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)に基づく保護命令の申立も併せて行ないます。
そして、「親権喪失宣告の申立て」と「職務執行停止の申立て」を行なうことになります。
また、全国の都道府県には、婦人相談所などに、配偶者暴力相談支援センターが設置されていますので、相談されることをお勧めします。
緊急一時保護施設(シェルターの紹介・手配)や警察・児童相談所への連絡など、適切な対処・対応をしてもらえます。
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私は、幼いころに両親が離婚し、母子家庭で育ちました。 >>>代表者ご挨拶
行政書士 小竹 広光 |
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